【報告書賞】朱い実保育園
八瀬野外保育センター かぼちゃフェスタ 2024
左京区 朱い実保育園 4 歳児(プランター栽培)グラム:2080g 計測日:8月 26 日
1.種まき時の子どもの様子・先生の感想など
かぼちゃは初めての野菜作りだったので、種まきの時に野菜博士に来てもらって一緒にポットに種まきをしました。野菜博士とは元京大農学部教授の方です(保護者の方に野菜作りのプロを紹介してもらいました)。現在は地方で野菜農家をやられていて、育て方や大きくするコツを教えてもらいました。子どもたちも初めましての野菜博士に「野菜博士だ~!」とワクワクしながらお話に耳を傾けていました。
色々なコツを教えてもらったので、子どもたちに分かりやすく伝えられたらいいなと思い、コツをまとめたポスターを作りました。野菜博士からは「みまもーる」と「むしとーる」を子どもたちは伝授してもらい、クラス全体で「よーし!大きく育てよう!」という気持ちが盛り上がっていきました。
2.育てる際の子どもの様子・ことば・気付いたことなど
種まき後、どうやったら大きくなるのかをクラスで話し合いました。去年3歳児クラスの時にトウモロコシや大根、トマトを育てた思い出のある子どもたちなので色んな発言がありました。「太陽がいっぱい当たるようにする!」「水あげる!」「水あげすぎてもダメだよ」「肥料もあげる!」「肥料あげすぎたらダメだよ」「虫が来てないか見る!」となるほどな発言にみんなもウンウン…と納得。
「分からない…」という子もいましたが、その後に図鑑をもってきてかぼちゃを調べている姿がありました。話し合いの中で、「お水、順番にあげたらどう?」という発言から水やり当番を決めることになりました。雨以外の日は毎日二人ずつ交代で水やりをしました。当番表を見ながら「今日は僕たちだよ!水やりしにいこ―!」とお互いに声をかけ合う姿がありました。
種まきから数日後、ついに芽が出てきました。やっぱり芽が出てくると嬉しいもので、見つけた子が真っ先に保育者の所に来て「みてみて!」と手を引っ張って嬉しそうに見せてくれて、一緒に発芽を喜び合いました。あっという間に他の種からも芽が出てきて、6粒中4粒が発芽に成功しました。みるみるうちに3枚目、4枚目と葉っぱが出てきて子どもたちもその成長ぶりにびっくり!水やりの度に一緒に観察に来ている子は、「最初に葉っぱ(双葉)と後から出てきた葉っぱの形が違う!」という事に気が付き、よく見ているなと感心させられました。
プランターに移してからもグングン伸びるツルにびっくり!どの種からどう伸びているかが子どもたちに分かりやすいように、フェンスにツルをのばしながら空中栽培で育てることにしました。受粉のために女の子のお花(花花)を探したりするのにも見やすく、受粉作業も子どもたちがやってくれました。(ハチもたくさん来ていたので、もしかしたらお手伝いしてくれてたかも!)
3.実ったかぼちゃを見た子どもの言葉・先生の感想など
受粉に成功したかぼちゃはどんどん大きくなっていき、あっという間にみんなの知っているかぼちゃの大きさになると「かぼちゃ大きくなってきた!」と嬉しそうです。他のクラスの子どもたちも「とらぐみ(本クラス)さんのかぼちゃすごーい!」と褒めてくれました。
担任は大きくなってきたかぼちゃが気になり、「途中経過の重さを測ろう!」ということでツルに ついたまま重さを測ってみることになりました。クラス全員でかぼちゃの前に集まり、保育者が給食室から借りた秤の上に載せ…ようとして、ブチッと目の前でツルをちぎってしまいました。これには、周りの大人も子どもたちも「えー!!!」とびっくり。私はもう「ごめーん!」しかありません…。こうなったら思わず収穫されたかぼちゃで楽しむことにしました。(→5実ったかぼちゃの活かし方)
4.かぼちゃを秤に載せて計測している際の子どもの言葉・気付きなど
9月、雨風にやられてはたまらない!ということで、台風が直撃予報の前日に収穫することになりました。大きくなったかぼちゃは3つ。みんなで抱えながら、
「おもたーい!」と大きくなったかぼちゃを身をもって感じている様子。子どもたちを信じて 1 つのかぼちゃを3・4人で力を合わせて部屋まで運びます。みんなの前でそろ~り秤にのせると…2080g・2080g・1500g!やった~大きくなったね~!
嬉しそうに「毎日みんなでお水あげたもんね~」と子どもたち同士で顔を見合わせ、自分たちが育てたことに自信溢れる発言がありました。種まきから収穫まで自分達で世話をして、だんだん大きくなる姿を喜べるのは 4 歳児ならではの経験だなと感じます。
5.実ったかぼちゃの活かし方
<制作>
まるまる大きなかぼちゃを絵の具とクレヨンを使って描画活動を楽しみました。黄色と青色の絵 の具を自分でパレットの上でまぜまぜ、自分だけの緑色を作ります。かぼちゃの周りに机を並べて、よーく見ながら描いていきます。みんなでじっくり見ていると、「反対側におへそみたいなのがある!」とか「しましまは緑かな?」「ちっちゃい傷もいっぱいあるよ」「葉っぱの所はちっちゃいとげとげがいっぱい!」といろんな発見に目を輝かせていました。気づいたことは絵の中にも落とし込まれていきます。個性あふれる思い思いのかぼちゃができあがりました!
<クッキング>
かぼちゃスープ・かぼちゃパイ・かぼちゃ餅
一つ目のかぼちゃで「かぼちゃスープ」クッキングをしました。まずは子どもたちの目の前でかぼ ちゃを包丁で真っ二つに!パッカーン!中は美味しそうな黄色で種もたっぷり。おもわず「おお~!」という声が上がります。それから、子どもたちは「スプーンで種を取る」「すり鉢ですりつぶす」をクッキング。「スイカみたいなみたいなにおいがする~」と生のかぼちゃのにおいに新たな発見をしながら、上手に種を取り除きます。給食室で蒸した後、すりつぶす作業はひとりがすりこぎ棒を持ち、周りの子がすり鉢をもって協力してひたすらすりすり。最後に、なめらかになったかぼちゃと豆乳、コンソメ、塩を加熱しながら混ぜて完成!給食と一緒にかぼちゃスープを味わいました。「美味しすぎる~!」「おかわりしていい?」とみんなで育てたかぼちゃを味わいとっても幸せそうな表情が印象的でした。その後も、色んなクッキングをしてかぼちゃを存分に満喫しています。
<運動会>
10 月の運動会に向けてどうしようかなと担任間で話し合い、やっぱりクラス全員で心を寄せたかぼちゃをテーマに取り組んでみたいね!ということになりました。9月中頃、泥棒「ぬすみのぎん」が子どもたちの大切なカボチャを盗んでしまいました!ぎんさんからの手紙には、かぼちゃを返してほしければ、忍者修行(これまで忍者ごっこを楽しんできた)を重ね、クラス全員で力を合わせてみろ!と書かれていました。ただいま忍者修行の真っ最中!さあ、果たして子どもたちはかぼちゃを取り返すことができるのか!?運動会が決戦の日です!
この間に子どもたちはかぼちゃのおいしさに触れ、「こんなにおいしいかぼちゃだもの」「ぎんさんが好きすぎるのも分かるかも」とただ悪者ぎんさんで終わるのではなく、ぎんさんにも心を寄せてわくわくするような世界が拡がってきています。
6.自由記入
まずは立派なかぼちゃが無事に実って、保育者たちはとりあえずホッ。うどんこ病が広がったときにはハラハラしました…。いよいよみんなで食べようとなり、ただ蒸かしたかぼちゃの甘さには本当に感動しました。なによりも子どもたちとこの感動を一緒に感じられたことが、かぼちゃ栽培に取り組んでよかったなと思うことです。自分たちのかぼちゃは自分たちで育てる!という気持ちを大切にしながら、愛情をこめて育てた子どもたちと保育者でした。
また、種まきの野菜博士をはじめ、夏季休園には保護者の方が水やりに来てくれたり、地域の農家さんがアドバイスをいただいたりと様々な方が力を貸してくれました。子どもたちが力を合わせ、その子どもたちを優しく見守ってくれる方々がいることを改めて感じる保育実践となりました。これからも色んな優しさをいただきながら、「僕たちってこんなことやり遂げたんだ!」という経験を沢山楽しんでいきたいです。
八瀬野外保育センターの方々には、素敵な企画を準備して下さり感謝いたします。